樹木の雄大さを伝えたくて、落葉の季節を迎えた大木に寄り添い、枝ぶりを描く。幹から太い枝、細い枝、空へと線を延ばす。そのイメージを写真で撮影。自分らしくを応援するサイト「I thinkでいこう」より。矢嶋剛が著作・制作・運営をしています。

§06 部分を延ばせ!

「たくさん書いて」と言われても…
(前のセクション§05のトレーニング法)

書くのが苦手な人ほど、「ちゃんと
書かなきゃ」と肩に力が入って、
ご立派を目指して、すぐに挫折。

そして書く手を休め、お茶を飲み、
他の事を始めてしまいます。
   

でもそれじゃダメなので、
(頭の中にある全部を出せないまま!)
今回は、ただたくさん書くのでは
なく、前後の辻褄が合う長文を書く
テクをお教えします。

オススメは、自分の経験を文として
少しずつ延ばすトレーニング。
どうやるかを、今から説明します。

こんな風に 延ばします

まず何か、自分の経験を書けるよう
なテーマを用意します。たとえば、
「写真を見て感激した経験を教えて
ください」をテーマに選びます。

このテーマで「書くの苦手」を自認
するAさんが次のように書いて筆を
止めた、としましょう。

友だちからもらった葉書の海の写真に
感激しました。


この文を
Aさんに延ばしてもらうんです。
たとえば、こんな風に質問して

「Aさん、この友だちってどなた?
 ちょっと書き添えてみて」

Aさん、こう書き添えたとします。
    (赤字が書き添えた部分)

私には中学校から高校まで一緒だった
山本さんという友だちがいます。その
山本さんから
もらった葉書の海の写真
に感激しました。


これで少し文は長くなりました。
同時に
内容が少し伝わってきました。

いい感じになったので、もう少し
Aさんに書き添えてもらいます。

今度は、
「写真にはどんな海が? 砂浜の風
景ですか?」と尋ねてみましょう。

Aさん、こう書き加えたとします。
   (緑の字が書き添えた部分)

私には中学校から高校まで一緒だった
山本さんという友だちがいます。その
山本さんから
もらった葉書の海の写真
に感激しました。
その海は沖縄県のど
こかの海岸だったと思います。誰もい
ない白い砂浜があって、ビーチパラソ
ルがいくつか。海はきれいな青。少し
緑がかっていたかもしれない。とても
キレイだった。


これでまた 文は長くなりました。

海の風景が加わったので、Aさんが
葉書を見て何に感激したのか?が、
グッと伝わるようになりました。

こんな調子で
「もう少し書き添えて!」と
お願いし続けると、文章って
どんどん長くなっていきます。
しかも中身を豊かにしながら。

ですから試して。
チャレンジ、チャレンジ!

こんな感じで「部分」を伸ばせば

ほんとうに、かんたんに、
どんどん、すらすら、
不思議なくらい…

自分の書いている文が
長くなっていきます。

文章が得意?苦手?なんて
関係なく、延びていきます。

せっかくなので
もう一つ例をあげましょう。

今度は、すこし抽象的なテーマを
延ばしてみます。(≒作文テク)

題名「家族の幸せ」。
ではスタート!


家族の幸せ

この題名から延ばせる「部分」を
探します。といっても短いので
選択肢は「家族」と「幸せ」。
どちらかを先に延ばします。

「家族」にしましょう。
では延ばしますね。(赤字の部分)

家族、と言っても二人暮らし。の幸せ

こんな感じで説明を加えましょう。
抽象的な言葉(「家族」)に具体像
(「二人暮らし))を添えてみると
文章って書きやすくなります。

でも「二人暮らし」だと説明不足。
もうすこし書き足します。

家族、と言っても二人暮らし。いいえ、
一人と一匹だからなんていうのかな。

の幸せ


新しい情報(家族構成)が加わり、
どんな家族の話なのか?が明確に。
(どうやら動物が登場するみたいです)

家族の説明をさらに加えましょう。
(どんな動物なんでしょうね)

家族、と言っても二人暮らし。いいえ、
一人と一匹だからなんていうのかな。

犬の名はブチ。老いた雑種の犬。彼と
わたしだけの二人暮らしです。
の幸せ

「来たー!」「🐕ちゃんだった!」
って感じですよね。

「そうか。こういう家族の幸せに
ついて書くんだね。例を自分の家に
求めるんだね」が、これで確定。

あとは幸せな日々を書き添えて…。
その一つ一つが「幸せ」の説明になっていくはずです。
(最初に挙げた「沖縄の葉書」と違うのは、
 抽象に具体を添えながら説明を膨らま
 したところ。あとは同じです。)


せっかくだから、「幸せ」のほうも
延ばしましょうか。

家族、と言っても二人暮らし。いいえ、
一人と一匹だからなんていうのかな。
犬の名はブチ。老いた雑種の犬。彼と
わたしだけの二人暮らしです。の幸せ

からスタート!

延ばす場所は「幸せ」の前でも後ろでもOK。

前だと、「いっしょに昼寝、幸せ」
「キャンプで遊んで、幸せ」式に
「幸せ」な出来事を足せば
でも今日は後ろの方を例示します。
(こちらの方がイメージしにくいので)

では「幸せ」の後ろを延ばします。

家族、と言っても二人暮らし。いいえ、
一人と一匹だからなんていうのかな。
犬の名はブチ。老いた雑種の犬。彼と
わたしだけの二人暮らしです。の幸せ

について書いてきました。

このように後ろを延ばすと
「まとめ」的になります。文章の
最後なので、そうなるんですね。

では「まとめ」、足しましょう。
続きをどうぞ。※前半を省略します

(省略)の幸せについて書いてきまし
た。
幸せとはなんでしょう。

「幸せとは?」をズバリ言うぞ!な
宣言が加わりました。では続きを。

(省略)の幸せについて書いてきまし
た。幸せとはなんでしょう。
わたしは
ホッとする時間だと思います。


「幸せとは?」について結論が
加わりました。その続きです。

(省略)の幸せについて書いてきまし
た。幸せとはなんでしょう。わたしは
ホッとする時間だと思います。
天国に
逝ったブチと寄り添って眠った時間は
最高に幸せでした。


結論に説明が加わりました。
「ホッとする」の内容がきちんと
伝わるようになりました。
(ブチ、死んじゃったんですね

このように「まとめ」って、
後ろにどんどん延ばせます。

自分の体験を越えて、話を大きく
延ばすこともできます。
たとえば、以下のように。

(省略)の幸せについて書いてきまし
た。幸せとはなんでしょう。わたしは
ホッとする時間だと思います。天国に
逝ったブチと寄り添って眠った時間は
最高に幸せでした。
幸せのカタチって
色々あると思います。お金持ちになる
こと。美人に生まれること。働かずに
遊んで暮らすこと。…


こんな風に、どんどん、どんどん
延ばすことができます。

このままだと、この話、永遠!
になりそうなので中断しますが、

文章って延ばせます。
とても簡単でしょ

なのに、それでも、

書くの苦手 その根本原因は…

な話を、最後にします。

書くのが苦手。
どうしてでしょう?

原因はズバリ、
かっこつける!
にあり。


なんかこう、体裁よく、
学校で怒られないように!
恥をかかないように!を
強く意識して

言葉が自由じゃない!
自分の言葉じゃない!

だから書けないんです。

学校で「あしながおじさん」の
読書感想文の宿題が出ると…

「えぇっと、感動した場面を書いて
そのあとに感動した理由を書いて」
なんて思うからダメ。

もっと自由に書いちゃう。たとえば

あしながおじさんって、題名で足が長い
ぜって書いているけど、手長おじさんだ
ったら何か問題あるのかなぁと思いまし
た。手長猿みたいでカワイイのに。足が
長いって自慢したかったのかな。それに
自分をおじさんって呼ぶのってツイッタ
ーとかで見るけどツライです。プロフィ
ールによくありますよね「ただのおじさ
んです」。なに、あの同情してくれって
感じ。このおじさんもそうなのかなぁ。
読んでいて、そのことばかり気になりま
した。とくに20ページの…


みたいに書いちゃう。
学校の作文コンクールで賞は
もらえない?かもしれないけど、
(賞が欲しい? 賞のために書く?)
本音ベースでいけるから楽だし、
続けていれば、書くの苦手
なんて絶対に思えなくなります。

苦手意識が強い人ほど、効果あり。

試してみてください。

(おしまい)

   
樹木の雄大さを伝えたくて、落葉の季節を迎えた大木に寄り添い、枝ぶりを描く。幹から太い枝、細い枝、空へと線を延ばす。そのイメージを写真で撮影。自分らしくを応援するサイト「I thinkでいこう」より。矢嶋剛が著作・制作・運営をしています。
部分を延ばせ!な写真をどうぞ~。
大樹のシルエット。幹から太い枝、
太い枝から細い枝が。この広がり、
「文を書く」に感覚が似ています。
(某県某所で撮影しました)

追伸

文章を延ばすテクニックについて説明をしま
した。参考になれば嬉しいです。慣れてしま
えば長く書くのは意外に簡単。ただし練習は
必要です。「日本語だから出来るもん!」は
間違いです。でも気づけば後はもう大丈夫。
ここに書いた方法を試してください。作文、
感想文が驚くほど楽しく書けるはずです。
そんなスラスラ書けるようになったあなたに
自分らしくに通じる、次のテクを授けます。
§07は、その話。もっとx2自分らしく!

  

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