§07 詰まったら 現実へ
「できるだけ、たくさん書く!」
(§05、§06)のテク習得。
すらすら、すらっと書ける。
10分でも20分でも、
1時間だって大丈夫。
ふふふふふ…
思わずほくそ笑んでしまう。
頑張ったね、わたし。
でも…
新なた壁にぶつかりましたか?
書いている内容が堂々巡りに陥り、
ひどくツマラナク思えてきた?
たとえば、こんな具合に…
恋って、なんていうか、よく知らないん
ですけど、デートとかしますよね、どっ
ちから誘うか、ドキドキすると思うんで
す。でもよく知らないんですけど、デー
トって…
(延々と続く、繰り返し妄想系)
経済って大事です。ほら経済って社会を
支えているじゃないですか。大事です。
みなさんもよく知っていると思います。
大事なんです。経済は地球を、国際社会
を支えています。経済を大事に、大事に
しましょう!
(聞くに堪えない、選挙演説系)
いやいや。困りました。
書けるけど…ですよね。
一生懸命!は伝わってくるけど、
内容が抽象的。何を伝えたい?が
自分でもわからなくなって…。
この行き詰まりを直しましょう。
原因はおそらく「ネタ不足」。
自分のストック、書ける材料が
乏しいとき、「たくさん書く!」は
見事に行き詰まるのです。
ということは…
原因がわかれば…
修正も簡単
ネタを充実させましょう。
てっとり早いのは 現実のチャージ
ですから現実を見つめましょう。
書いているテーマを描くのに重要な
現実を見つめてください。
現場に立つ。話を聞く。関連する
資料を読む。方法は色々あります。
日本の誇る映画監督、溝口健二さん
(亡くなられて久しい)は、こんな
ことを書いています。
(映画で描く)当時の制度の中で
人間や女を描けるからね。
今、吉井(勇)老人が西鶴の現代
語訳をやっています。僕は期待し
ている。学者のやったのは駄目で
すよ。道楽をしていないもの。
競馬の話を書くなら競馬をしなよ。
できないなら、競馬を楽しむ人に
話を聞きなよ。わかりやすく書くと
こんなことをおっしゃっています。
時代考証、社会や人の描写に人一倍
厳しかった溝口さんの言葉は、現実
不足解消の金言です。
落語の名人、名人の中の名人と云わ
れた古今亭志ん生さんは、溝口さん
と同じことをもうチョットくだけた
カタチで言い遺しています。
廓(くるわ)というものは、昔は
若い人があすこへ行くってェと
世の中の大概のことが判って
まいりますから。
だそうです(笑)
ですから、現実へ。
(「さぁ廓へ」じゃ無くて)
恋愛を妄想するより恋愛をする。
(初デート中にオナラしたくなったぞ)
経済を語る前にアルバイトに励む。
(お金を稼ぐって、すごく大変!)
旅行記を読み漁るより旅に出る。
(北海道はでっかいなぁ~~~を実感)
そうすれば、
あなたの「たくさん書く!」は
驚くほど豊かになっていきます。
この悩み、大学でも
ところが、なかなかできない。
現実を知らずに知ったかぶり。
検索語をググって上位表示される
記事を読んで「現実、終了~」。
だから、ますます書けなくなる。
この悪循環。負の連鎖。
ダメがダメを呼ぶ原因の重複。
影響は大学でも。
とくに社会科学系の学びの中で、
多くの学生を悩ませています。
どういう現象か、説明しますね。
社会科学(学ぶ分野:政治、法律、
経済、経営、社会、文化…)は、
世の現実に立ち向かう姿勢と方法を
探求する学問の総称です。つまり、
「現実があって」の学びなのです。
具体的にいうと…
経済学って、経済を知るための学問
じゃありません。人って経済(:稼
いで支払って)抜きに生きられない
から「仮想通貨とか、どうする?」
を考えるために学ぶんです。
マーケティングも同じです。知識や
情報を得ることが目的じゃなくて、
お客様のために「どうする?」を
考えるために学びます。
ところが、それに気づかない人が
けっこういるんです。
「現実をどうすれば?」な問いに
チンプンカンプン。書くリポートは
用語が舞うだけのツマラない内容。
教える側にも問題あり?
厳しいようですが、
大学のセンセイって(ダメダメさん
ほど)、抽象的な話をブツブツ…。
「現実があって」を無視して、用語
の説明(○○とは)や学説の紹介
(○○によれば)に終始しがち。
このスタイル(用語の意味や学説の
内容の暗記だけ?)を強いると、
学ぶ側は現実に無関心になります。
その結果、用語や有名キーワードを
連呼する大学生が急増。
(例 石炭の燃える煙を嗅がずSDGs)
(例 空腹を知らないのに貧困を語る)
(例 漁港を見ずに水産問題を評論)
いつの間にか、頭デッカチ。
現代版・象牙の塔 に引きこもり
ネットやテレビが現実だよぉねぇ~
という錯覚に囚われても平気。
その阿保らしさに耐えかねて
「リアリティがないんだよ!」と
叫んだりする。(なぜか英語)
う~ん、病的。
ここまで来ると、世の中のことを
描くのは無理。もっともらしい
曖昧なことしか書けない。
現実が遠い世の中だけど
なんか「書く」話が妙に大きくなっ
てしまいました。
でも、
あなたの「たくさん書く!」を邪魔
するネタ不足って、こういう事情も
背景にあるのです。
そのひずみがもっとも露骨に表れる
場所が大学の社会科学系の学び。
ですから、すこし紹介しました。
話を「書く」に戻しましょう。
この話のポイントは
書けない→ ネタ不足→
現実をチャージ! でした。
この解決法は本当によく効く。
ぜひ試してください。
そして、その現実の書き方ですが、
写真を説明するメモ風に書くことを
おすすめします。
写真の下に付ける説明文をキャプションと言いますが、あれは写真の横幅を最長とするのでもう少し長く。文は走り書きで十分。書いたらストック。すると、ある日、いくつかの現実が急に意味を持ち始めます。
現実がネタに化けるのです。
これで「たくさん書く」は
再起動できます。
あなたの書く文章(=意見)が、
より豊かで、すばらしい内容に
なりますように!
(おしまい)
現実のチャージに出かけましょう。
海辺のイメージが浮かばないときは
漁港へ行って、ご飯でも食べて…。
(静岡県由井の港。桜海老、美味)