§08 フレーズを増やそう
文をスラスラ書ける。(§05) (§06)
書くネタもバッチリ。(§07)
そんなあなた、
自分の想う事、考えた事を次々と
文章化できるまでに大成長。
ゆえに、新しい行き詰まりに
気づいてしまいます。
表現がパタン化してツマラン!
という行き詰まりに。
よくあるのが、以下の症状。
あなたは、様々な例示をスラスラと
書けるようになりました。
「たとえば、…」
「たとえば、…」
「たとえば、…」
箇条書きも得意になりました。
「第一に…」
「第二に…」
「第三に…」
楽勝。えへへ。うふふのふ。
けれど、本音を言うと
あなたはウンザリ。
「私の文章、カッコ悪!」
「正直、他人のだったら読まない」
なヘキヘキ状態。
すると悪循環。
「たくさん書く」ための基本テク
「それで?」さえ腹立たしく
になってきます。
無理もありません。
書けば書くほど
自己嫌悪に陥るんですから。
この悩みを ピアノの演奏に例えると
こうなります。
あなたは、ピアノが弾けなかった。
それが今では、ド・ミ・ソの音を
自由自在に弾くことができます。
試しに弾いてみましょう。
♪ドミソ ミソミソ
ソミドミソ
ソドソドソソソ ミドドミミ~♪
上手に弾けています。
でも最近、弾いていても
ナンカ窮屈になってきた…
ような…。
そんなとき、
他の人の演奏を耳にしました。
「あっ、なんかステキ」
心がワクワクしてきます。
もっと聴きたくて耳を澄ますと
その人が自分と違う音を弾いている
ことに気づきます。
「シ・レ・ソか」
シとレは弾いたことがありません。
だからとても新鮮でした。
数日後、別の人の演奏を聴く機会が
ありました。
その人は、ド・ファ・ラの音を
弾いていました。
「ファとラ。これもステキ」
そう思ったあなたは…
シ・レ・ファ・ラを練習。
暫くすると、
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド
を弾けるようになったのでした。
めでたし、めでたし
もうお分かりですね。
あなたの今の行き詰まりは
このショート・ストーリーと同じ。
あなたには
新しい表現が必要なんです!
必要なのは 新しいフレーズ
実は…
このピアノの下り、比喩と呼ばれる
表現手法を使っています。
文章を書くをピアノの演奏と
重ね合わせて表現したのです。
文章の表現力を、奏でる音の数
(ドレミ vs ドレミファ…)で描写
することで、わかりやすく説明して
みました。
表現力を高めると、
同じ事を書くにしても違うカタチで
表すことができるのです。
というわけで(何がじゃ!)
(自分でボケ、そのボケに自分でツッコむ
お笑いテク「ノリツッコミ」を借用しま
した。これも表現手法の1つです。余談)
文章の表現力を高めてください。
方法は色々あるのですが、ここでは2つのアプローチをご紹介します。
1つは、ボキャブラリーを増やす。
もう1つは、台詞を真似る。
それでは早速ご説明しましょう。
ボキャブラリーを増やすには
ボキャブラリー(語彙。ごい)。
意味は、知っている言葉の総数。
語彙力が高い=使える言葉が多い。
つまりボキャブラリーを増やすって
あなたの使える単語数を増やすって
こと。英単語をたくさん覚えると、
英作文が…という話と同じです。
さて、ボキャブラリーの効果です
が、かなり大。
言葉って、ほんとうに色々あって、
凄いですから。
たとえば「確かめる」は、場面や
状況に応じて何通りにも書き換え
られます。不思議とピタッリくる
「確かめる」があるんです。試しに
少し書き換えてみましょう。
「感じる」「経験する」
(身体的・現象的)
「表す」(芸術的)
「試す」(スポーツ的)
「動かす」(技術的)
「診る」(医療的)
「証拠を求める」(法律的)
「働きかける」(行為的)
「影響を調べる」(分析的)
「検証する」「同定する」
(科学的)
いかがですか?
ニュアンス、伝わりましたか?
「確かめる」をどう行う?によって
それぞれの分野や領域で違う表現が
用いられているんです。
こういうのを使いこなせるように
なると表現力はぐっと高まります。
そんなボキャブラリーを増やすには
他人の書いた文章を読む!
つまり、本や資料をどんどん読む。
これがもっとも簡単でお手軽。
「えーっ」と思いました?
でも、探している表現、自分では
思いつかないのですから、ここは
素直に他人の力を借りましょう。
そのときのコツですが、
あまり読んだことのないジャンルの
文章をあえて選んでください。
そして未知の文章世界へ。
未知の単語、未知の使い方に
遭遇してください。
台詞(せりふ)の勉強もおすすめ
台詞を真似しましょう。
映画、芝居、ドラマ、小説の台詞を
モノマネ的に真似しましょう。
台詞はフレーズ(言い回し)なので
単語より長い表現を学べます。
優れた作品は、
おぉ!と驚くフレーズの宝庫です。
作家や脚本家が
「ここで、どんな言葉を!」で
ウンウン唸り、
監督や演出家が
「えぃやっ」と覚悟のOKを出すの
ですから、それも納得。
浄瑠璃作家の近松門左衛門さんも
鬼気迫る台詞を書いていますよ。
「地獄へも極楽へも 連れ立つて
下さんせ」
読むだけでもブルルですが、
音読するともっとシビれる。
そのくらい。
(わたしも好きで音読します→ブログ)
ほかにも凄腕、世界に大勢。
そんな台詞の勉強法。
とりあえず真似しましょう。先ほど
近松作品のところで触れたように
真似して喋ってみるのです。
「ナンジャ、コリャ」
松田優作さんを真似て
こんな風に同じように発語する。
そして台詞の響きに浸る。
ふたたび発語する。
浸る。
これを何度も繰り返す。
飽きてきたら…
同じ系統(この場合は「驚く」)の
台詞を並べる。
「ナンジャ、コリャ」
松田優作さんを真似て
「びっくりしたなぁ」
誰のギャグだっけ?
「あっと驚くタメゴロー」
ハナ肇さんを真似て
そして順に発語する。
それぞれの良さが解かってくる。
こんな風にして、台詞に親しみ、
知っているフレーズの数を増やして
いってください。
表現は 無数に
ということで、
今回は表現力を高める方法について
書きました。
ボキャブラリーの話と、
台詞の話。
「あっ、それいいな」と思えれば、
両方、あなたのものになります。
意識して、刺激を受けて、
文章の表現力、高めてください。
(おしまい)
今日は、どれを、食べようかな?
この余裕をあなたの「書く」に!
(美味しそうでしょ。都内です)