音楽と本は同じ。知識で読まず感じてください。その暗示として、本棚の角の奥にキーボードを隠してみました。旧オフィス「庵」での遊びです。自分らしくを応援するサイト「I thinkでいこう」より。矢嶋剛が著作・制作・運営をしています。

§10 教科書を不要に

前回、こんな話を書きました。

文章には流れがある。
流れには作者の意図が隠れている。
流れを読めるようになると、どんな
本でもすらすら読めるようになる。

今回は、その先の話を書きます。

作者の意図がわかるから

文章の流れを意識できる人は、
「著者、〇〇を伝えたいんだ!」が
手に取るように分かります。

「あ~、この人、こんな風に
 ゴチャゴチャ書いているけど、
 一番強調したいのはココ!」

「この人は、表現を変えてるけど、
 同じ事、繰り返し書いてるだけ」

が判るようになるのです。

この達観、けっこう凄いんです。

どんな本にもビビらなくなります。

ほら、本ってどこか威圧的じゃない
ですか。分厚くて、立派で、偉い肩
書の付いた頭よさそうな人が
「ほら、読んでみな!」って、放り
投げてくる感じの本、あるじゃない
ですか。

そんな本でも、すらすら読めます。

難しそうな文章「ナンタがチンタで
すなわちホンタラであるのはいうま
でもないが、周知の通り、アンタラ
ボウタラがホンタラ…」も大丈夫。

ふつうだと「こんなの読めない」が
読書をストップ させますが、
このストップがなくなるのです。

嘘のようですが、ホントの話。

難しい表現いっぱいの分厚い本が
読めるようになります。

では実例を

ロー・オルダーソンWroe Alderson
さんが書いた『マーケティング行動と
経営者行為』
という本の流れを読み
取ってみましょう。

この本はとても鋭い。なので、大学
の講義では必ず紹介するのですが、
訳本でも549頁あります。
内容も一見すると難解です。

目次を見ると

第Ⅰ部 マーケティングと行動諸科学
第Ⅱ部 市場行動の理論
第Ⅲ部 マーケティングにおける
    経営者行為


なんて書かれています。

「げぇ~、章じゃなくて部?」
「部って、なにぃ~?」に
なりそうです。(=大半の人の反応)

ですが、流れで読めば大丈夫。
以下のように見えてきます。

第Ⅰ部 マーケティングと行動諸科学
(マーケティングが人の行動と深く関係
 してることを書きま~す。そして…)

第Ⅱ部 市場行動の理論
(物を売ったり買ったりするときの傾向
 について書きま~す。そして…)

第Ⅲ部 マーケティングにおける
    経営者行為
(だから社長たる者、何をすべき!を
 書いて、この本、終わり!)


という流れだな!に気づきます。

すると分かります。
この人がいちばん言いたいことは…

第Ⅱ部 市場行動の理論
(物を売ったり買ったりするときの傾向
 について書きま~す。そして…)


だな。隠れても無駄だ! になって
そこを読むと章が出現。そこには

第4章 差別的優位性を求める競争
(他社と違うで勝負する話。そして…)

第5章 マーケティグ体系と交渉
(売り買いの交渉の話。そして…)

第6章 消費者購買の動機づけ
(買おうと思う気持ちの話。そして…)

第7章 斉合と品揃え形成:交換の論理
(品揃えをどうする?な話。そして…)

第8章 配分と市場価値
(以上を分析すると…な話。そして…)


な流れが見えてきます。
でピンと来ます。
そして察するのです。

第8章は燃えカス。言いたい事は
その前にあるはず。

第4~6章は前振りっぽいぞ。

とうことは…

見当をつけて第7章を読むと
大当たり

この本のメインテーマ
「みんなを幸せに。誰なら実現?」
に遭遇。そしてそこを熟読。
ふんふん。

ここまでくると勝ったも同然。
(何にだ?

メイン・テーマが判ると、それに意
見をどのように加え、全体を形作っ
ていった?流れも分かるんです。

頭(メイン・テーマ)はここで、
首はここ。骨はここ。
筋肉はこの辺り、が見えてきます。

なのでバッチリ読めちゃいます。

そして最後には、
この (1957年初版)と
現在のビジネスが見えない糸で
つながり、その糸をさらに未来まで
延ばすなら… な理解・紹介が
サラリになって。

この感覚を身に付ければ、
難しいと言われる本を
ドカスカ消化できちゃいます。

う~ん、新境地~

すると、解説本が不要に

なっちゃいます。 Wao!

またまたマーケティングの本で
恐縮ですが、たとえば…
『もしドラ』は要らない。

なぜって、元ネタを書いた
ピーター・ドラッカーさんの本を
あなたは読めるのですから。

フィリップ・コトラーさんが書いた
『マーケティング・マネジメント』
の「欲求段階説」(人は何を求めるか?
の優先順位を示した説)
のページも
要らなくなっちゃいます。

元の話を書いた心理学者、アブラハ
ム H.マズローさんの本『人間性の
心理学』
を読めるんですから。
(こちらのほうが解るし、鋭い!)

一事が万事。この調子で行けます。

こういう読書ができるって、
超ラッキー です。

というのも、解説本って、元の本の
受け売り&解釈&省略です。

元の本の構成を無視して、有名な
一節だけを取り上げます。そして、
そこを拡大解釈。誤解・誇張あり。

まさかと思うでしょうが本当です。
「元の本には本当は何が?」は
永遠の謎のまま。なので怖くて
人に「読んだ」と言えません。
先ほどの例で言うと
「ドラッカー読んだけど!」と言えない。
「欲求段階説は…」とも言えない。


この阿保らしさ、回避できます。

そして 教科書も不要に

解説本の片手落ちに気づくと、
教科書の記述も同類であることに
ピンと来ます。教科書も解説本の
一種ですから。

たとえば数学の教科書を思い浮べて
ください。

あの本、ピタゴラスさん(=三角形の
内角の和は180度!の人)
ほか多くの人
の発見をまとめただけ。

物理も、化学も、国語も、歴史も、
成り立ちは同じ。

ふつうはそこに気づかないけど、
「ところで、ここ、元は何?」
目線で教科書を眺めるあなた。
心の余裕を持って教科書に
向き合っちゃいます。

「あのさ、世の中の本の内容って
 【元】(本人のオリジナル)
 【写】(他人がコピペした)
 どちらかなわけ。学校の教科書は
 100%【写】なわけ。常識よね」

になっちゃって。

「わたしたちって【元】を知らない
 まま、【写】を勉強してるって、
 なんかすごく浮ついてない?」

に気づいちゃって。

「まぁ、【元】なんか知らなくても
 いいけど。数字にゼロを掛けると
 なぜゼロに?なんて興味ないから
 【写】でいいけど、興味あるとこ
 ろは【元】、知りたいかも」

と思えるように。

【元】っぽい【写】
振り回されない。

それ、すごくクール

〆に、その話をしましょう。

【元】を読める あなた

本の流れが読めて、
難しい本もすらすらで、
解釈本も要らなくなり、
教科書はなくてもいい(あっても
いいけどね…)
になったあなた。

ばりばり。かっこよすぎ。

あとは、【元】っぽい【写】
気をつけるだけ。

意外に多いんです。
正直に【写】と書いてくれていれば
(=出所や引用元を明記するなら)
いいんだけれど。しない場合、
多々あります。

そして、
「△△の基礎は〇〇だ」的な
物言いをします。

なんで?
どうして? 誰が言ったの?

気になるあれこれ全部無視して
「基礎」「基本」で
すべてを押し切ろうとします。

この手の本に出会ったら、
著者をブラックリストに入れ、
「おまえのやったことは…」と
言い放ち、捨ててしまいましょう。
惑わされるって、時間の無駄です。
(売る手もありますが、被害拡大は下策)


それにしても、今の世の中、
受け売りが横行しています。

【元】を確かめずにコピペを
教える人、本やネットに
平気で書く人、
驚くほどたくさんいます。

そんな不確実より、
あなたのほうが遥かに上。

どうぞ自信を持ってください。

そんなあなたは、いつの間にか
知の巨人たちと意見交換できる
ステージへ進出。

やってみます?
それでは、次の§へ進みましょう。

(おしまい)

   
音楽と本は同じ。知識で読まず感じてください。その暗示として、本棚の角の奥にキーボードを隠してみました。旧オフィス「庵」での遊びです。自分らしくを応援するサイト「I thinkでいこう」より。矢嶋剛が著作・制作・運営をしています。
どんな本でもすらすら読める。
素晴らしい能力だと思います。
どなたでも持てるのですから、
チャレンジして、世界中の本を
楽しんで!!と思っています。
(以前の仕事場の書棚です) 
  

追伸

難しい本でもすらすら読める。嬉し!楽し!
解説本、もう要らない! エヘヘ。ウフフ。
そこを楽しみましょう。本に書いてあること
全部を解かる必要なんてありません。著者の
いちばん伝えたいこと(メイン・テーマ)を
見つける。それが読書です。ですからどうぞ
構えず、力まず、リラックスして本に込めた
著者の思いを想像してください。そして、
難しそうな本、どんどん読破してください。

  

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