§18 リポートは大きく
学校や仕事でリポートの提出を
求められたら…チャンスです。
あなたの考えや意見がいっぱいの
I think (§17参照) なリポート、
高く評価されるリポートで
あなたの魅力を伝えましょう。
その書き方をお教えします。
最重要ポイントは、あなたの考え、
そして意見です。これをしっかり
書いてください。
さっそく説明に入りましょう。
何をすべき?を順に書きます。
まず 肝心な考えや意見を
リポートには課題があります。その
課題に対するあなたの考えや意見を
明確にしてください。
わたしは〇〇すべきだと考える。
〇〇が必要だと考える。
こう言い切るんです。
重要だ。理解した。知った。
これは却下。考えではないから。
反対だ。やめるべきだ。
これも却下。否定は危機感の表明で
あって考えではありません。行動に
つながるポジティブなトーンに書き
換えてください。(§14参照)
なぜこんなこと書くのか?
というと、
この段階で多くのリポートが
失敗してしまうから。
失敗の原因は明らかで、
この穴にハマる人って、
自分の考えや意見を持たない
まま書き始めてしまうのです。
それではダメ。ですから、
以下のことを実践してださい。
結論が固まるまで書かない
提出期限まで時間がない!
かもしないけれど、
そこはグッと堪えてください。
急がば回れ! 直して
急がば休め!
そして、
あなたの考え、意見が固まったら、
書き始めてください。
それまではじっと我慢。
我慢の様子を例で示しましょう。
SDGsという活動を知った→ 我慢
SDGsが重要だと感じた→ 我慢
SDGsの活動に興味がある→ 我慢
SDGsの活動、わたしなら→ 我慢
SDGsのためにすべきことは…→
はい、書き始めてください。
こんな感じでお願いします。
ここまで我慢すれば
結論は自然と出ます。
わたしは〇〇すべきだと考える。
〇〇が必要だと考える。
が結論になっているはずです。
(そうじゃなければ、また我慢へ)
そこを確認したら、結論を
自身に読み聞かせてください。
「はげしく同意」なら大丈夫。
次のステップに進んでください。
(付けくわえると、
〇も、〇も、〇もすべきだと考える。
のような複数の結論の並列はダメ。
結論は1つに絞ってください。
注:結論1つの下に複数の方策はOK)
結論を置く場所を決める
次にやることは、
結論の場所決めです。
どこに置くか?
リポートの課題によって異なります
が、場所はだいたい次の2つ。
・結論が先。説明が後。
・論証が先。結論が後。
結論が先…の場合、「わたしは〇〇
すべきだと考える」に続いて「どう
してそう考えたのか」の説明が始ま
ります。
結論が後…ならば「この課題にはど
のような問題があるか。データはあ
るか。その問題で検討すべきことは
何か」の検討(これを論証と言います)
に続いて「わたしは〇〇すべきだと
考える」が示されます。
このように結論の場所は前後に何を
書く?を決めるので重要です。
課題に適した方を
選択してください。
さて、どちらに置くかを決めたら、
リポートの各部分に何を書くかを
決めましょう。
工程表にするとわかりやすいです。
結論が先なら、
結論→説明1→説明2→説明3→..
の各部分に書くことを、
結論が後なら、
論証1→論証2→論証3→..結論
の各部分に書くことを、
それぞれ決めていきます。
ここまで決まるとリポート全体が
見えます。文章のスタイルも。
結論が先、は新聞記事、
結論が後、は起承転結
に近くなるかもしれません。
新聞記事と起承転結ついては
§09流れを見渡せ!に説明があるので
そちらを参照ください。
さて、これで準備完了です。
あとは思い切り書いてください。
どんな風に思い切り?
続いて、その説明に入ります。
書くときは 遠慮しない
ここ、リポート高評価のポイントに
なります!
目指すは、
あなたの考えや意見がいっぱいの
I think なリポートです。
ですから表現も、あなたを前面に。
変な遠慮をしないでください。
どういうことかというと、
たとえば、
わたしが言うのも何ですけど…
なんて、意味不明の謙虚は
「周知の通り」なんて断らない。
「核心は…」で、いきなり突く。
「原因は多数」的な前置きは捨て、
「注目すべきはコレ!」と断定。
「あくまで案…」と謙遜しない。
「コレ、やりましょう!」と
力強く提案する。
「私の経験では…」と卑下しない。
「最適な例、私の経験を…」と
例示する。
「○○○氏によれば」で逃げない。
「私と同じ見解に至った人が…
○○氏です」と言い換える。
「私見ですが…」も無し。
そもそもリポートが私見です。
こんな風に書いていきます。
単なる表現の違いなんですけど、
こういう書き方ができなくて
「調べただけ?」
「人の意見の紹介?」
「ありがちな結論だなぁ」
と不当に低く見られてしまう。
この悲劇を断絶しましょう。
強気で書いて、
あなたの考えや意見を
ぐっと前面に押し出してください。
そう書けば自然と、
いいリポートに仕上がります。
データ・資料・本は 補佐役
「でも求められている課題は
調査リポートなんだよね」
「事実を調べ、結果を報告。
意見の入る余地あります?」
そんな声が聞こえて来そう。
こういうリアクション、
リポートに不慣れな人にありがち。
そこには、たいてい、以下に示す
二つの思い込みが潜んでいます。
1.同じデータを見ると、同じ調査
リポートができる。
2.調査は客観的でないと。個人の
意思を含ませてはいけない。
お疲れ様です。
でも、それ、間違いです。
分析に主観は付きもの。同じデータ
から異なる結論。
鋭いA。凡庸なB。ダメなC。
差は歴然。これがフツウ。
この現実を受け止めてください。
データ、資料、本。それらは、
あなたの考えや意見を支える
ために添えられています。
主役はあなた。
データ、資料、本は補佐役。
引用や例示も補佐役。
それがリポートの本質なのです。
ですから 大きく書いて!
あなたの考えと意見に満ちた、
スケールの大きいリポートを
書いてください。
「自然破壊を考える」を超えて、
森林再生計画を示す。
「有名画家を讃える」を超えて、
みんなが画家になる方策を示す。
「歴史の本の感想」を超えて、
これからの社会像を示す。
こんな感じで、リポート、
大きくできると思います。
ちなみに、わたしの講義では
リポートをお願いするとき、
以下のように伝えています。
わたしの主張に遠慮しないで。
あなたの見解が何よりも大事。
見解を自由に書いて!
板書や配布資料は踏み台です。
イラストや絵、どんどん描きなよ。
図も自由に描きなよ。
もっともっと自由に書いて!
こうリクエストしています。
すると、素晴らしいリポートが
続々と現れます。
すごく嬉しく、なっちゃいます。
真逆 ダメなリポートの例
折角なので、あなたを感じない、
ダメなリポートの話も添えますね。
以下の雰囲気 濃厚なリポートは
たいていダメ。
・採点者の主張に大賛成
・流れるような構成になってます
・美しいでしょ!
・量もたっぷり
・データも豊富
・専門用語を散りばめてあります!
・コンパクトにまとまっています!
・高評価、よろしくお願いします。
思い当たりますか?
肝心の結論は二の次で、体裁第一。
高評価が欲しくて採点者に媚びる。
この手のリポート、プレゼン、
見かけますが…
リポートの採点者(先生?上司?)が
あなたの信者化を求めない限り、
決して「優秀」にはならない。
体裁よく書くと、ほどほどの評価が
得やすいかもしれない。けれど、
ほどほどが精一杯。いいの?
望みは失敗しない だけ?
自分を封印? sad, sad, sad
結局は 自分のため
以上、高く評価されるリポートと、
その書き方についての説明でした。
リポートを書く機会が訪れたら
生かしてください。
わたしも学生時代に思いましたが、
リポートって面倒くさかった。
無ければいいなぁ~ と
願ったものです。
けれど今になって考えると、
とっても勉強になりました。
いちばんの収穫は、
自分が物事を深く考えていない!
に気づいたこと。
このページに書いた言葉で言うなら
「結論」を持たないで平気な自分、
別の言い方をするなら授業の内容を
授業の枠内で処理するだけの自分に
気づけたのです。
すごくカッコ悪いと思いました。
同時に、気づけてラッキーとも。
それからです。リポートに対する
姿勢が変わったのは。
あなたも、リポート、
楽しんでください。
(おしまい)
あなたの考えや意見にあふれる
大きな大きな大きなリポートを
思いっ切り書けますように!!
(静岡県柿田川湧水公園で撮影)